Tuesday, July 25, 2006

サイエンス

分散(Dispersion)
 光の分野において,屈折率が光の波長に対して異なる現象をいう.ガラスなどの媒体はシリコンや酸素の原子から出来ていて,そこに光が当たると原子に束縛されている電子が光の電界によって偏る,いわゆる分極を起こす.丁度,光の波長が電子のエネルギー凖位間に等しいと共振をおこして吸収される.また分極のため,真空に比べて屈折率が少し大きくなる.ところが,その波長よりずっと長波長でも吸収の影響はわずかながら続いている.多くの原子の影響で,媒体の屈折率がそれらの和で表され,ガラスだと屈折率が1.45くらいにもなる(真空の屈折率は1).普通,上記の吸収は紫外線領域にあり,可視光領域では,その影響が長波長ほど弱くなる.このようにして,屈折率が波長によって異なるわけだ.
 このような波長分散は,ガラスで出来たレンズ,光ファイバなど光学材料には本質的の存在し,光の波長(色)によってその性能が違ってくる.光ファイバでは,送り出す波長によって伝搬する速度が異なるので,長波長ほど信号に遅れがでる.これでは困るので,その補償法が考えられている.カメラのレンズでは,分散の違うレンズを組にして色消しをする.光ファイバでは,分散の異なるファイバを受信端に接続して補償する.最近では,電気的に補償をする技術が取り入れられている.電子顕微鏡でも,電子凹レンズが出来てきて,コンピュータによって電子エネルギーの違い(色に相当)を補償するようになった.
 2006年7月25日に,第101回微小光学研究会で「分散と微小光学」の特集を行った.光学部品,光ファイバ,電子顕微鏡にいたる広い領域において,分散の原理から補償技術までの講演があった.
 詳しくは,http://www.din.or.jp~microopt/ または http://www.comemoc.com 予稿集販売中.

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